昔から実り豊かな田の町、山口県田布施町。そして八雲八幡社のある上田布施。ここは春夏秋冬季節の花が咲き、人はどこまでも優しい、そんな場所。静かに、静かにゆっくりゆっくり時が流れる場所だ。その上田布施では、昔、今から四十年ほど前まで毎年夏になると人々を熱くさせる祭り「盆踊り」が行われていたという。

上田布施の人々は、昔行われていた「盆踊り」をふとしたきっかけで思い出す。そんな時、人々は顔をほころばせ、太鼓の拍子・唄を口ずさみ自然に体を揺らし踊りだす。そしてググッと胸を張り、
「あの頃の盆踊りは、そらあ楽しかったね。」
と少年の顔をのぞかせながら、「あの頃」を語りだすのである。

日本全国どこにでもある盆踊り。この上田布施にも、その盆踊りはあった。それは、人々を熱く・優しく・幸せにする不思議な力を持っていたという。一体どんな盆踊りだったのだろうか。かつての祭りを知る上田布施河原田の人々をたずね、話を聞かせてもらうことにした。