今、上田布施では、かつてのように盆踊りは行われていない。
しかし、今でも、上田布施近くに『嵯峨音頭』を、太鼓と『音頭口説』にのって踊る昔ながらの盆踊りを、大切に伝え継いでいる地区がある。そうなのだ。今でも『嵯峨音頭』は、あの盆踊りは生きているのだ。
『嵯峨音頭』を今でも大切に守り続け昔と同じようなかたちで踊っているのは、上田布施より南側に位置する麻里府(まりふ)地区の方々だ。この麻里府地区には、『嵯峨音頭保存会』というものがあり、『嵯峨音頭』を次の世代に伝え、踊り、うたい継ぐ取り組みをしている。太鼓の練習には、保存会役員の方と麻里府小学校のほとんどの子どもたちが参加しているのだそうだ。
麻里府地区では(平成14年6月現在)、毎年夏になると小学校の校庭に櫓を組み、盆踊りを開催している。進学や就職などで他県にいる人も、盆踊りの時期になると帰ってきて太鼓を叩き、うたい、踊るとてもにぎやかな元気いっぱいの盆踊り。多いときには、500〜600人で踊るそうだ。
太鼓を叩きたくて、音頭口説をしたくて、踊りたくて毎年たくさんの人が喜んで集まる盆踊り。昔の人々の熱い熱い思いもそのまま、伝え継いでいるのだという。